Audi TT(8JBWA) エアコンブロアモーターの修理

Automobile

Audi TT(8JBWA)のエアコンから、風が出てこなくなりましたので、修理を行いました。

Youtubeやネットを見るとブロアモーター交換で治るようですが、輸入車の部品は高額ですし、程度の良い中古も売られてなかったので、部品番号確認を兼ねて分解清掃修理をすることにしました。

まずはVCDSでフォールトチェック

最初に持っているRoss Tech VCDSでフォールト状況を確認したところ、見事にフォールトが記録されていました。

Address 08: Auto HVAC        Labels: 8J0-820-043.clb

1 Fault Found:
01273 - Fresh Air Blower (V2) 
            003 - Mechanical Failure - Intermittent
             Freeze Frame:
                    Fault Status: 00100011
                    Fault Priority: 3
                    Fault Frequency: 6
                    Reset counter: 157
                    Mileage: 59595 km
                    Time Indication: 0
                    Date: 2023.05.21
                    Time: 17:24:02

             Freeze Frame:
                    Temperature: 27.0ーC
                    Speed: 0.0 km/h
                    (no units): 210.0
                    (no units): 30.0

Fresh Air BlowerのMechanical Failureとあるので、ブロアモーターの動作不良で確定です。

交換パーツを探したところ、パルカさんで取り扱いはあったのですが、あいにく売り切れでしたので、とりあえず清掃修理にトライすることにしました。

純正新品ブロアモーターを5万円くらいで販売しているショップもあったのですが、中古の部品取りでも直せるものなので筆者は見送りです。

アウディ/VW エアコン ブロアモーター A3/8P,8V Q3/8U TT/8J | ザ・ビートル イオス ゴルフ5 ゴルフ6 ゴルフプラス オートエアコン用 VALEO製 1K2820015H

今回の修理手順

最初は、部品型番の調査だけを行う予定でしたが、運良くモーター清掃のみで復旧できましたので、手順を記載しておきます。

グローブボックスを取り外し

ブロアモーターは室内の助手席側にあるので、8mmのソケットを使って、グローブボックスを取り外します。

ネジは、上段3本、中段1本、下段2本で止まっています。

グローブボックスは結構重量がありますので、ネジを取り外す順番は、中段→下段→上段の順で行いました。

最後のネジを外すとグローブボックスが脱落しますので、グローブボックスの下を支えながら上段の中央ネジを最後に外すようにすれば、破損事故なく取り外せると思います。

モーター取り外し

グローブボックスを取り外すとブロアモーターが露出します。

モータは、回転はめ込みされているだけですので、接続コネクタを抜いて、ラッチを軽く下げながら、右に回すと簡単に取り外せました。

取り出したブロアモーターを手で回してみるとゴリゴリに抵抗がある状態でした。おそらくカーボンブラシの摩耗粉がベアリングに侵入して、回転が渋くなっている状態と思われます。

ブロアモーターの分解

ブロアモーターAssyを分解します。

ファンモーターとケースは、ゴム状の突起3箇所止まっているので、マイナスドライバーなどで突起を強く押さえるとファンモーターとモーターケースが分離できました。

ブロアモーターは、吸い込んだ外気の排気ガス等により、酷く汚れているため、一旦洗浄します。

モーターケースはプラ部品でしたので水洗い洗浄を行いました。

ブラシは、バネの伸びを見る限り、まだ半分も摩耗していません。

故障の原因は、下部側モーターベアリングへのブラシ摩耗粉混入による、固着だと思われます。

なお、ファンとモーターは、何箇所かでカシメられていましたので、これ以上の分解は諦めました。

モーター洗浄、グリスアップ

モーターとベアリングの洗浄は、揮発性のクリーナーで行います。

ブロアモーターは粉塵とブラシが摩耗したカーボン粉でかなり汚れていますから、ひたすらKUREのエレクトロニッククリーナでブラシ接点周りやベアリング軸受部を洗浄します。

KUREのエレクトロニッククリーナは、電子部品やプラパーツに悪影響を及ぼさず、さらに速乾性ですので、ケチらずに使うのがコツです。

下部ベアリング軸受部にエレクトロニッククリーナーを塗布すると、モーターの動きが通常に戻りましたので、不動の原因はベアリング固着で間違いないようです。

エレクトロニッククリーナーが乾くと、また回転が渋くなるため、ベアリングにLSベルハンマーを塗布し、手でファンを回して浸透させていきます。

ベルハンマーの塗布直後は、動きが渋かったのですが、10分くらいおいて浸透してくると軽く回るようになりました。

清掃とグリスアップで復旧できない場合は、おそらく、ブラシの寿命か、ブラシ片減りによる動作不良と思われます。

ベアリングを抜く道具(ベアリングプーラー)は、1万円くらいのコストがかかるので、ブロアモーターの中古部品を調達したほうが安く済みます。

始動テストと内装の取り付け

自動車に取り付ける前にブロアファンのコネクタを接続して、始動テストします。

無事回ることを確認したら、逆の手順でグローブボックスを取り付け戻します。

グローブボックスを戻すときは、上段の真ん中のネジから取り付けるのが一番楽でした。

グローブボックスは重いうえ、これまでに無理な姿勢が続いて、疲れが蓄積されるので、休憩をはさみながら行いました。

次回故障時はモーター交換必須かも

夏を前にしてエアコンが壊れて困りましたが、清掃とグリスアップで治りました。ブラシの摩耗量をみると、あと5万キロくらいは無交換でいけそうな感じです。

アウディに限らず輸入車のDCファンモーターは、カシメや圧入で組み立てられているので、一般的にブラシ交換は困難なものが多いようで、一般ユーザーには優しくないです。やはり維持コストは日本車のほうが圧倒して安価ですね。

このAudi TTは生産終了から時間がたっていますし、レア車種ということもあり、新品の部品は手に入らないかもしれません。

次回故障時は中古部品への交換も念頭に行いたいと思います。

(追記)この2週間後にブロアモーターが再び動かなくなりました。調査したところ故障に至った原因が判明しました。