全自動パルス充電器MP-220のパルス波形を調べてみる

Automobile

大自工業(ブランド名:メルテック)から発売されているパルス充電器を持っており、定期的にパルス充電していますが、パルスの出力波形が気になったので、先日購入したOWONのオシロスコープで波形を取ってみることにしました。

測定方法は、オシロスコープのプローブを自動車バッテリー端子の+12VとGND(-)に接続し、MP-220をパルス充電状態にして「Auto」を押すだけです。

DIYのようなフィールドエンジニアリング作業には、バッテリー内蔵のポータブルオシロ+Autoボタンで、ほぼ何でも安全に測定出来ます。ポータブルオシロは、バッテリー内蔵で商用電源から独立して動作するため、繋いだ瞬間にショートするという問題も発生しません。

オシロスコープのプローブ先端は、不意に外れないよう市販されている「みの虫クリップ」に変換しておくと安定して測定ができます。(この測定方法も電子系エンジニアとしては基本中の基本)

パルス波形を測定した結果、パルス電圧±250mV、パルス間隔は15μsecで出力されていることがわかります。最初、DCカップリングで測定しましたがパルス電圧がかなり小さかったので、ACカップリングの測定に切り替えて観測しました。

パルス電圧は、+端子側(+12.5V)を起点としたパルス出力であり、パルス出力中は充電していないことがわかります。

パルス間隔を周波数に変換すると1 / 0.000015 = 66(KHz)です。他メーカと同様に30~60KHzくらいあると思っていましたが、想定どおりでした。

このパルス周波数の適正値については、様々な意見がありますが、パルス充電によるサルフェーション除去を最初に発表されたAlastair Couper氏の論文では、2 ~ 6 (MHz)でサルフェーション除去効果が認められたと解説されています。

Alastair Couper氏の論文の周波数と比べると、MP-220のパルス周波数は低速であり、パルス電圧も低いです。しかし、パルス充電後にバッテリーチェッカーで確認すると、CCA(コールドクランキングアンペア)は50(A)くらい向上するので、バッテリー性能復活の効果は認められます。

パルス電圧は250mvと低いのですが、これは高いほど良いというものではなく、端子に電気的振動を与えることでサルフェーションが分解されるという原理であることから、多少でも一定の効果があります。MP-220はどのような自動車でも不具合がでないよう低めの電圧になっていると思います。

ただ、ほとんどの一般家庭はMP-220を毎日接続することが出来る環境ではありませんし、月1回位のパルス充電だと、どうしてもバッテリーのサルフェーションは進行します。その状態で冬期になるとバッテリーの基本性能が低下して、エンジン始動不可能になるという不安がどうしても残ります。

やはり、このサルフェーション対策にはバッテリー常時接続型のバッテリーパルサーの方が効果が高いと思いました。近いうちにバッテリー常時接続型の強電圧・高周波のバッテリーパルサーを購入し、効果レベルや不具合が出ないかなどを評価してみたいと思います。