セイコー キネティック プロスペックス SBCZ005 (愛称:グレイゴースト)が、落下させた時に針ずれが発生して、長針と秒針が重なると秒針が動かなくなったので分解修理をしました。
かなり前に故障していたのですが、購入したお店に修理見積をとると、カバーを開けてキャリパーを出すので2万円かかると言われ、修理せず保管していました。
参考までに購入費は4万円程度だったと思います。
現象
長針と秒針が重なると秒針が止まります。振ったりして振動をあたえると秒針が進み始めますが、また一分後に針が重なって停止します。
キネティックはクォーツ機構なので、針の駆動力が弱く、針も肉抜きされて軽量に作られています。
針は衝撃の影響を受けにくいのですが、落下の衝撃で一番長い長針がずれてしまったのでしょう。
必要工具
- 精密ドライバー (-1.2,-0.9が入ったセット品)
- プラチップピンセット
- 時計ケースオープナー
- 時計固定ホルダー(時計固定台)
作業手順
ドライバーを研ぐ
時計内部のマイナスネジは幅が狭く、購入したままのドライバーではねじを回せません。
ドライバーは軽く研いで先を鋭利にしておきます。ケース内のネジを回せればいいので、ケースオープン後に研いでも構いません。
ケースを開ける
ケースオープンはケースオープナーに当て紙をして回します。
固く閉まっていて開かない場合は、時計を時計固定ホルダーにしっかり固定してから回します。
この時計は比較的大きいのでケースが開けば、時計固定ホルダーから外しても修理作業に差支えはなかったです。
ケースをあけると中の構造は写真のようになっています。
キャリパーの分解
文字盤の針にアクセスするには、りゅうずを外してキャリパーを取り出す必要があります。
腕時計のりゅうずは、「オシドリ」という部品で抜け止めがされているのですが、この時計はケースを開けただけではオシドリが見えません。
オシドリは、キャリパーのカバーしたに配置されていますので、「ローター」、「電池のカバー」、「キャリパー名称が書いたカバー」を取り外す必要があります。
ローターを外します。
ロータの回転をモータに伝える歯車を取り出します。
電池のカバーを取り外します。
キャリパー名称が書いているカバーを取り外します。
オシドリを押してりゅうずを外す
カバーをはずすとオシドリが見えます。
オシドリは写真の部分を押しながらゆっくり引き抜きます。
キャリパーの取り出し
キャリパーはケースとかみ合っており逆さにしても出てこないので、適当な突起をピンセットでつまめばケースから出せます。
ケースから出したら、ペットボトルのキャップなどで受けるようにすると、水平で作業が出来ます。
針の調整
針は長針がナナメなっているだけなので、ピンセットで傾きを調整するだけです。
この時計は、カレンダー時計ですので、針を外したい場合は再度竜頭を差し込んで昼12時に合わせて外します。これを怠るとカレンダーの切り替えがずれてしまいます。
組み付け
組付けは逆の順序で取り付けていきますす。
ネジがとても小さいので、外すときより組付けるときの方が難しいです。
ローターの歯車は表裏がありますので、モータとかみ合う向きで取り付けます。
動作確認
動作確認を行い、パッキンにシリコングリスを薄く塗布して、ケースを締めれば作業は終了です。
これでまたしばらく使えます。
このキネティックは、手回し充電ができるタイプではないので、常用していないと2次電池が劣化するようです。
100回ほど振って充電しても2秒運針となる場合は、2次電池が劣化していると思われるので、電池交換をお勧めします。
本ブログにもセイコーキネティックの電池交換要領を記載していますのでご参照ください。
動画はこちら