【2023年度版】ユーザー車検の実施方法

Automobile

自家用自動車の車検を陸運局の持ち込み車検(ユーザー車検)で通す手順について記載します。

筆者は車検をずっとディーラー車検でお願いしてきたのですが、10年前に輸入車を購入したところ、車検に17万円もかかったことがあり、それ以来、ユーザー車検に切り替えることにしました。

いざ、ユーザー車検をやってみると、車を預ける必要がない、車内のプライバシーが侵されない、車検の検査費用がわずか2300円、と良いことばかりでしたので、オススメのDIYだと思います。

注記:車検証は個人情報が満載であるため、車を預けるという行為に不安がある方は、ユーザー車検はもっとも適切な選択だと思います。

1.必要書類と費用の準備

車検の大半は「納税作業」ですので、意外とたくさんの書類が必要ですから、最初に書類整備を行います。

車検に必要な書類を紛失している場合は、車検場での再発行手続きだけで済むことがほとんどですが、余計な時間を使って予約時間どおりに検査ができなくなってしまうので、余裕をもって整備するほうが無難です。

  • 自動車検査証(車検証):自動車に常時備え付けている車検証です。新車検証交付時に交換となるため、必ず原本が必要です。
  • 自動車税(種別割)納税証明書:5月に徴収される自動車税の納税証書(振込用紙)です。紛失した場合や譲渡車で他人が納税している場合は、地区町村や車検場で納税証明の再発行を受ける必要があります。万一、未納付であった場合は車検場で納付する(もちろん未納の延滞金は盛々取られます)ことも出来ます。
  • 自賠責保険証明書:こちらも継続車検証交付に必要なので必ず持参します。継続車検の場合は、現在の自賠責保険の満了期日から2年延長となります。
  • 24ヶ月点検記録簿:DIYで行った定期点検記録簿です。法定上は後検査でもかまわないのですが、適切に実施しない人が多いことから、受付窓口に提示しないと継続車検の受付が拒否されます。
  • 車検場の予約番号:ユーザー車検は検査装置(テスター台といいます)に自動車を走行させる作業があるので、基本的に予約がないと受付されません事前に予約番号を印刷して持参します。検査予約に空きがあれば、最終ラウンドになりますが、窓口で当日予約も出来るようです。
  • 現金:諸費用は基本的に現金払い(収入印紙払い)が必要です。費用は、車検費用(普通車は2,300円 2023年1月より値上げ)+重量税(車種によって異なる)+自賠責保険料(普通車は20,010円)が必要です。
  • 印鑑(認印):検査記録用紙に押印する場所はありましたが、現在は不要でした

書類が欠落している状態では、基本的に受付はしてくれません。記載事項の軽微な修正であれば、その場で追記・訂正指示がもらえます。

2.車検場の予約

車検場の予約は自動車技術総合機構のインターネット予約システムから行い、予約番号を取得します。インターネットが使えない場合は、車検場に出向いて、窓口端末で予約することも出来ます。

アカウントIDは、メールアドレスがあれば取得できますので、スマホでも出来るようです。検査の予約をすると、検査前日にメールで予約日時と予約番号をお知らせしてくれますので、結構親切ですね。

※注記:2021年にシステム改修があり、2020年以前のアカウントIDはどうやっても使えません。その場合は、新規にIDを取るところから実施してください。

予約する検査時間帯は、午前・午後に分けて計4ラウンドありますが、ユーザー車検の場合は「朝イチの1ラウンド目」をお勧めします。

理由としては、同日のテスター検査は3回までという制約があり、もし最終ラウンドで不適合がでると、翌日検査となり、検査が1日で完了しないリスクがでるためです。

特に光軸検査は要注意です。光軸検査は、専用の測定器で厳密に測定されるので、整備工場で適合となるレベルでも、車検場のテスターでは不適合となる場合があり、2ラウンド目以降の再試験を考慮しておくようにします。

3.24ヶ月点検実施と記録簿作成(これが難関)

24か月点検は専門性が高い作業ですが、運転免許以外に必要な資格はなく、DIYで十分できます。

ただし、車の仕組みがわかっていないと、少々難しいので要領を記載しておきます。

まず、24か月点検は法定点検であるため、専用の記録用紙に記載する必要があります。

記録用紙は、自動車の24ヶ月点検シート(店舗用と顧客用の2枚複写式)をコピーして使ったり、インターネットで汎用の点検シートをダウンロードすることで入手します。

近くに印刷環境がない方は、車検場で1枚30円で販売されている記録用紙を活用するのも手です。

DIYで24か月点検を行う場合、注意点としては以下の項目があります。

  • パワーステアリングの駆動方式:最近の自動車は電動パワーステアリング(EPS)が使われており、油圧制御機構がありません。EPS搭載車はベルト機構などがないため、「検査該当なし」と記載するのが正解です。
  • エンジン関連の点検:最近の自動車はエンジン関連にトラブルがあると、メーターの警告灯が点灯するようになっており、OBD2診断によりフォールトが出ていないことの確認で代用することが可能です。24ヶ月点検記録簿ではスパークプラグを外して確認する方法が記載されていますが、白金プラグ・イリジウムプラグは点検省略可能となっており、通常は「省略」と記載するのが正解です。エンジン関連はDIYで分解すると、元に戻せないリスクが増えるだけなので、極力OBD2診断で済ませる方が良いと思います。
  • OBD2診断は万能でおすすめの工具です:最近の車はほぼ電子制御となっていますので、分解点検よりOBD2ポートを使ったPC検査を行うほうが高精度に点検ができます。社外品の検査ツールであれば2~3万円でも手に入るので、ユーザー車検を行う場合は、浮いたコストでOBD2診断機を導入することをお勧めします。トヨタ・レクサスならデンソー製のGTS、アウディならRoss-Tech製のVCDSがお手軽価格と思います。
  • オイル漏れチェックは目視で行う:エンジンオイル、ミッションオイル、ブレーキオイルに漏れがあると車の故障につながるので、オイル漏れの目視確認はきちんとやっておきましょう。アンダーカバーがついている車は、オイル漏れが目視できませんので、市販カースロープを使ってカバーを外すのが一番手間少ないです。
  • ドライブシャフトブーツの点検:ドライブシャフトブーツが破れてグリスが飛び散っていると、下回り検査で確実に不適合になります。ブーツ破れは、1日で治せる故障ではないため、車検に持っていく前に必ず点検します。ブーツが破れていた場合は、面倒でも左右両方を交換しておくほうがいいです。
  • ブレーキパッド、タイヤ残量はタイヤ脱着しなくてもできる:アルミホイールが装着されている自動車であれば、タイヤを脱着しなくともパッド残量測定工具やノギスを使うことで、正確に測定できます。
  • フロントガラスのダイヤルゲージを剥がす:これまでに店舗で定期点検を受けると、通常はフロントガラスにダイヤルゲージというものが貼り付けられています。このダイヤルゲージは、店舗で法定点検を実施した記録なので、過去の記録が貼り付けられている状態では車検に通りませんから、スクレイパーなどできれいに剥がしておきます。ただし、車検場の検査官からも剥がすように言われるので、忘れていたとしてもあまり問題にはなりません。

4.検査時の操作の予行演習

車検場の検査レーンで自動車の操作は、すべて自分で行う必要がありますので、少々の知識と予行演習が必要です。

特に最近の自動車は、トラクションコントロールシステム(TRC)、オートハイビーム、オートサイドブレーキなどの安全・便利機能が標準装備になっており、車検を行うときはそれらの機能をオフにしておかないと、検査に通過できません。

以下にOFFにしておく項目を列挙しますので、事前に確認するようにします。

  • トラクションコントロールシステム(TRC)TRC OFFのスイッチがある自動車は必ずOFFにします。トラクションコントロールシステムが機能すると、タイヤが空転していると判断して20km/h以上の速度がでなくなってしまいますので、検査にとおりません。(TRCがあるのに OFF設定がない車両は、そのままで車検に通ると思います。)
  • オートハイビーム関連制御(AHS,AFS):光軸検査やスピードメーターテスト時にオートハイビームが動作すると不適合になります。検査時はAUTOポジションではなく手動操作で操作します。
  • オートサイドブレーキ:検査では指示されたタイミングでサイドブレーキをかける必要があるので検査時はオートサイドブレーキ機能をOFFにします。手動操作の方法は、自動車の取説に記載されているはずですので、よく読んで練習しておきます。

TRCやオートハイビームは、ボタン一発でOFFにできるので検査中でもなんとか操作出来ますが、オートサイドブレーキはOFF操作が間に合わないので、不合格になる可能性が高いと思います。

参考:YoutubeにレクサスNXのユーザー車検の通し方を上げていますので、適宜確認してみてください。

5.検査当日のスケジュール

初めて車検場に出向いたとき、継続車検だけではなく、新規登録や改造検査なども行っているため、対応窓口がたくさんあることに驚くと思います。

車検場で窓口がわからず、どこで何ができるかわからないと、あっという間に予約時間が過ぎてしまうので、初めてユーザー車検を行う場合は、事前に下見しておくことをお勧めします。

また、車検場の光軸テストは素人調整ではパスできません。光軸に関しては、近隣のテスト設備を持つカーテスター屋さんで、合格できるように調整してもらう必要があるため、所在地も確認していたほうが良いです。

筆者は以下のようなタイムスケジュールを組み、滞りなく作業が出来るように計画しています。

※注記:車検場のネット予約を行い一定の要件を満たしている場合は、自動受付機でのチェックインにて窓口確認をスルーすることが出来ます。(自動受付機の作業手順はこちらの記事を参照)しかし、車両検査後に書類不備がわかると、車検交付時がなされず後の手間が増えるので、ユーザー車検では窓口受付をお勧めします。

  • 9:00 カーテスター屋さんで光軸調整:車検場近隣のカーテスター屋で光軸調整を行ってから、車検場に手続きをします。民間の車検場での光軸調整は、意外とばらつきが大きく、新車から何も触らなくても、車検場ではNGになりますので、費用を出して調整は必須と思います。
  • 9:10 書類作成(税金と車検手数料の払込、自賠責保険加入):車検の受付窓口で(1)継続検査票、(2)継続検査申請書、(3)重量税納付書の3書面を記載し、払込窓口で重量税と検査手数料を支払い、収入印紙を貼り付けてもらいます。筆者の場合、自賠責保険はビルに同居している保険会社に依頼しています。書面を記載する台や見本もありますし、わからなければ窓口でも丁寧に教えてくれるので、DIYですべて完結できると思います。
  • 9:15 車検受付窓口へ提出:書類が完成したらまとめて車検受付窓口へ提出し、受付がおわると返却され、継続検査票にしたがって自動車の検査を受けるよう指示されます。24ヶ月点検記録簿はここで提示と検査合格時の2回提示が必要です。(24ヶ月点検は後点検でも良いとされていているのですが、窓口では点検記録簿を記入してから持ってくるよう言われるので、結局時間ロスをするだけです。)
  • 9:20 自動車を検査レーンに入れる(待ち時間約30~40分):通常はどんなに早く行動しても、前日に不合格になった車両などが再検査待ちしているので、既に検査待ちの行列が出来ています。筆者の自家用車は、繁忙期前の1月車検なのですが、それでも30~40分くらいは待ちます。
  • 9:50 検査実施(1テストあたり10分程度):テスター画面の指示どおりに操作をするだけですが、テスト時に車両操作に失敗すると、1度だけ再テストが実施されます。しかし、2回目も操作ミスした場合は、不合格となって再検査になります。再検査になると、再度並び直しとなり、大きな時間ロスがでますので、検査を待っている間に操作練習をしておくほうがいいでしょう。
  • 10:00 検査合格:テスター試験に合格すると、最後に総合判断という検査官との面談があります。そこで合格印をもらって、検査用紙を指定された窓口へ提出すれば、車検証とシールが発行されます。
  • 10:10 車検シールの張替え:車検証シールは自分で張り替えて、車検作業の完了です。

筆者の場合、初回は光軸検査でハマってしまい、4ラウンド目までやったことがありますが、2回目からは、最初に光軸調整をしたことで、毎回一発合格出来るようになりました。(いわゆるPCDAサイクルを回す)

ユーザ車検は、24ヶ月点検さえ出来てしまえば、それほど難しくないと思いますので、是非チャレンジしてみてください。

【参考】2024年10月からのOBD検査について

2024年10月から自動車の診断コネクタを使ったコンピュータ検査(OBD検査)が実施されることが決まっていますが、対象車両は「製造日が2021年10月の車両」となっており、大多数の車両は対象外です。

OBD検査がユーザー車検で通せるかどうかが不明ですが、製造日が2021年10月からとなっているため、車検場にOBD診断機が備え付けられるのではないかと考えています。