最近ラジオ予約録音ソフトを自作したこともあり、SDR#(sharp)を使う機会がめっきり減ってきました。
WindowsのUSBチューナードライバーにはZadigを使いますが、これまで汎用チューナーのSDR#にも内包されているものを使っていました。しかし、SDR#は巨大なソフトウェアですので出来るだけダウンロードしたくありません。
そこで今回は、USBチューナードライバーのZadigだけをインストールする方法を紹介します。
Zadigが対応するUSBチューナーは多彩
ZadigをインストールさえすればUSBチューナーのほとんどを動作させることが出来ます。
Zadigが対応しない製品としては、ADALM-PLUTO等のAnalog Devices社の製品があげられます。ADALM-PLUTOはSDR以外にも多彩な機能を持つ装置ですので、メーカーが提供する専用ドライバーをインストールが必要となります。
筆者はRTL-SDR, RTL-SDR.COM, HackRFを所有していますが、WindowsでGNUradio, SDR# , HDSDRというアプリケーションを使う場合は、Zadigをインストールすればすべて動かす事ができています。
GNUradio等を使う場合、USBチューナーからの信号入出力にはosmosdrというAPIが用いられます。osmosdrはZadigに内包されるWinUSBに接続されて動作するようです。参考までにosmosdrでサポートされるUSBチューナーは以下のとおりとなっています。
Osmocom RTL-SDR, Ettus USRP Devices, Osmocom MiriSDR, HackRF Jawbreaker, nuand bladeRF, RFSPACE Receivers, AirSpy
Zadigでインストール出来るUSBドライバー
Zadig.exeは、WinUSB、 libusb-win32 、 libusb0.sys、 libusbKなどのソフトウェア無線が使う汎用USBドライバーが包含された、USBデバイスへのアクセスを支援するWindowsアプリケーションです。
Zadigは定期的にインストーラが更新されているようですが、ドライバーのバージョンはver.2.3から変更がありませんので、過去にインストールできていればドライバーを更新する必要はありません。
執筆時点でのドライバーバージョン(Zadig ver.2.3 2017年から大きく変化なし)
- WinUSB v6.1.7600.16385
- libusb-win32 v1.2.6.0
- libusbK v3.0.7.0
ドライバーソフトは、不具合がなければ触らないのが鉄則ですから、問題がなければ使い続けたほうが良いです。
Zadigの入手とインストール
Zadigドライバーはこのサイトにありますので、ダウンロードして適当なフォルダに配置します。
次にUSBチューナーをPCのUSB端子に接続します。
WindowsOSがドライバーの検索をすることがありますが、OSはドライバーを探せないのでキャンセルをします。
Zadig.exeをダブルクリックして実行します。セキュリティー関連のアラートが出ると思いますので許可して続行します。
optionをクリック、List All Devicesをチェック、Ignore Hubs or Composite Parents のチェックを外し、インストールできるUSBデバイスを確認します。
デバイスリストをプルダウンして、RTL2838UHIDIRというデバイスを選択します。
一部のUSBポートがたくさんあるマザーボードは、USBがComposite Deviceに割り当てられている場合がありますので、出てこない場合はIgnore Hubs or Composite Parentsをチェックして検索してください。
インストール先がWinUSB(v6.1.7600.16385)であることを確認して、Install Driver(またはReplace Driver)をクリックすると、ドライバーのインストールが始まります。
インストールは数分の時間がかかりますので、終了するまで待ちます。
インストールが終了したらZadigを閉じてで終了し、デバイスマネージャーを確認します。
デバイスマネージャーはWindowsマークを右クリックすると簡単に開くことが出来ます。
デバイスマネージャーのUSB(ユニバーサル シリアル バス デバイス)を確認し、RTL2838UHIDIRが表示されていればインストールは成功です。
動作確認は、SDR#(SDRsharp)や筆者が製作した録音ソフト(jfm-rec)で近隣のFM放送を聴いてみて、受信ができれば確認完了です。
既知のトラブルシューティング
YouTubeの動画のコメントでいろいろなトラブル情報を頂くことができましたので、以下に対処を列挙します。
- WinUSB以外にドライバーを上書きしてしまい、PCが正しく動かなくなった場合:ZadigのFAQに対策方法が掲載されています。キーボードやマウスのUSBドライバーに上書きしていなければ、対処可能と思われるので諦めずに試してみてください。
- RTL2832が出てこない場合:Windowsが汎用USBドライバーを割り当てしまっている場合があるそうです。デバイスマネージャーでRTL2832のドライバーをアンインストール後、USBチューナーの抜き差しをしてから、Zadigを再度実行するとインストール出来ると思います。
- 古いPCを使う場合は要注意:ノートPCのCentrino世代(2010年頃のUSB2.0しかないPC)は、インストール後にキーボードがおかしくなる場合が報告されています。この世代のPCは、Windows10の動作も怪しく、USBチューナーのような特殊な使いかたは出来ないと考えたほうが良いです。既にサポートされないPCは、時間の無駄に繋がりますから、思い切ってPCを変えたほうが良いと思います。
- SDR#に内包されるZadigインストーラ(DOSコマンド)が固まる:SDR#のインストーラはバッチファイルで組まれており、バッチ中にZadigのバージョン確認&ダウンロードがあり、HPの更新などで食い違いがあり停止(応答を待ち続けている)していると思われます。Zadigを本記事の個別インストールをしてください。
Zadigは注意してインストールしてください
ZadigはどのUSBポートでもドライバーの書き換えができるソフトとなりますので、細心の注意を払って操作するように心がけてください。
いままで5台ほどのPCにZadigをインストールしてみましたが、インストール先のデバイス名称が「WinUSB」であれば失敗することはありませんでした。
このドライバーをいれるだけで、無線に関する様々なフリーソフトが楽しめるのは面白いですね。