高感度AMラジオ用アンテナ TECSUN AN-200

Radio

SDRでAMラジオの受信プログラムを製作した際、感度が今ひとつ良くなく、ノイズと高周波音が耳障りだったので、中波専用ループアンテナAN-200を購入しました。

少し前にAVコンポ用のAMループアンテナを購入して多少の利得アップはあったものの、AM検波の非同調時に発生する高周波音(キーンという音)が消えなかったので、同調回路(バリコン)がついたものに変えてみることにしました。

ループアンテナの仕組みについて

AMラジオで使われる500KHz~2,000kHzの中波は、1,000kHzで波長が300m程度ととても長く、等波長のアンテナを設置することが難しいため、受信には電線をたくさん巻いたループアンテナが用いられます。

ループアンテナは、コイル状に巻くことでインダクタンス成分を持つようになるので、バリコン(バリアブルコンデンサ)を並列に接続し、受信周波数と共振させて大きな利得が得られるという特徴があります。

アンテナの共振周波数はf=1/(2π√(LC))で出来るので、アンテナにバリコンがあると感度を飛躍的に向上させることができます。

ループアンテナと接続コネクタの購入

バリコン付きのループアンテナをいろいろ探してみると、中国のTECSUNが製造しているAN-200の評判が良かったので購入することにしました。

AN-200のアンテナ接続プラグはモノラルジャックですのでSDRにつなぐには変換が必要です。筆者は、モノラルジャック-F型コネクタ変換を行い、F型ケーブルを介して、F型コネクタ-SMAへと変換することにしました。

ケーブルは、無線用の50Ω(4D)を使いたいところですが、テレビ放送用の方が入手性が良いので、75Ω品(4C)を選びました。

AN-200の仕様を確認

AN-200のループ直径(実測)は227(mm)でアンテナ線路は30巻されていました。

アンテナ線長を計算すると、2πr✕巻線数= 2✕π✕227✕30 = 42,766(mm) ≒ 43(m)となり、AM周波数の約1/8波長分のアンテナ長があります。(電波の波長は、v=fλで計算します。vは光速の3.0✕1e8(m/sec)を代入します。)

直径と巻数も申し分なく、AMラジオ受信においては、必要十分な仕様だと思います。

アンテナ接続はミニプラグ(モノラル)となっています。

同調回路がついた大きなアンテナなので、ミニプラグでAMラジオと接続しなくても、このアンテナをそばにおいてダイヤルを回すだけで感度が向上すると思います。

アンテナを接続して受信してみる

アンテナの接続は購入したコネクタとケーブルをつなぐだけなので簡単です。

AN-200を接続して、GNURadioでAMラジオを受信してみるとかなり受信利得が上がりました。

バリコンのダイヤルを回すことで、共振周波数が調整できるようになり、同調部分では電界強度が高くなり、いっそう良く聞こえるようになりました。期待以上の感度向上です。

GNURadioのスペクトラム表示を見ていると、ダイヤルの回す量によって電界強度が変わるのがよくわかります。またAM変調ですので、電界強度が上がるとボリュームも上がります。

これまでに気になっていた高周波ノイズは、この同調回路の調整でほぼ完全に消せるようになりました。

強電界放送局は、時間帯(※)によっては、電波が強烈に入って受信トランジスタが飽和することで音が割れる場合もありますが、このバリコンの調整によりトランジスタ飽和を抑えることも出来るようになります。

長波~中波~短波は、太陽の位置(昼・夜)や大気の状態(電離層の状態)の影響をよく受けます。

AMラジオアンテナ(AN-200)はお値打ち品です

最初はループアンテナを自作するか、AN-200を購入するか迷っていましたが、見栄え、使い勝手、コンパクトなAN-200を選択してよかったです。

お値段も3,000円以下と安価ですし、卓上のAMアンテナはAN-200一択だと思います。

欠点としては、AMラジオしか聞けないのでFMや短波を聴くにはアンテナをつなぎ替える必要があるところです。

複数のSDRを持っている場合は、受信デバイスの切り替えで常時接続が出来ますので、常用する場合はSDRを追加したほうが利便性が向上します。

以上、AMラジオアンテナAN-200の機能レビューでした。