Cisco Catalyst C9105AXWのcapwapモードのセットアップ手順について解説します。
C9105AXシリーズは、アンテナ数と屋内外の環境により複数のラインアップがありますが、今回は実機に触れる機会があったC9105AXW(2x2)のセットアップ手順の実例を紹介します。
C9105は以下2つの動作モードを持っており、無線コントローラ(WLC)を用いるcapwapモードでの設定例について記載します。
- 無線コントローラWLC接続モード(Wireless LAN Controllerを使うcapwap(Control and Provisioning of Wireless Access Points):企業での導入の場合はほぼこれ
- 内蔵された無線コントローラを使うEWCモード(Embedded Wireless Controller):小規模店舗や自宅で使う場合など
C9105はcapwapモードであればゼロコンフィグでも動きますが、WLCのGUIからMAC アドレスでホストネームを入力する作業は効率が悪く、機器の保守にも支障が出ることから、以下の主要な設定値を記憶させてから設置するようにします。
- アクセスポイント名
- アクセスポイントのIPアドレス
- WLCのアドレス(primary, secondary)
準備機材
機材は筆者が保有している以下のものを使いました。
- フリーのターミナルソフト「Tera Term」が動くWindows PC
- USBシリアル(RS232C)変換器
- Dsub9pin -Rj45変換ケーブル
- PoE HUBまたはPoEインジェクター(15W品でも可)ギガビット 5ポート (PoE 4ポート 55W) 静音ファンレス 省電力設計 3年保証
C9115の初期設定手順(capwapモード)
以下、設定手順例を示します。
(手順1)PoEで起動し、Tera TermとRJ45ターミナル端子をつなぐ
電源はPoEのみで挿入コネクタは背面にあります。PoEの隣のコネクタは、スルーポートですのでコネクタを差し込んでも何も起こりません。
RJ45ターミナルポートは、アクセスポイントの下面に配置されています。設置後でもターミナルで保守できる位置にありました。
C9115は、Ethernetスルーポートや有線ポートが豊富にありますので、ビル設備などで導入する業務用途を想定して設計されているようです。
(手順2)設定値を投入する
WLCへ接続する前にC9115にホスト名、IPアドレス等の設定値を投入します。
設定値はNVRAMに自動記録されるため、write config操作はコマンド自体ありません。
Ciscoのアクセスポイントは、capwapモードにすると自動で再起動がかかる仕様です。
ただし、既にcapwapモードで稼働している場合は、自動で再起動しないようですので、reloadコマンドで再起動します。
再起動時間は約4分かかりますので、時間の余裕を持って作業をするようにします。
; 初期Username, 初期password Username:Cisco Password:Cisco ;設定モードに移行する enable Password:Cisco ; エラーログの出力を停止する ; これをしないとエラーでまくりで作業にならない logging console disable ; AP名の設定 capwap ap HOSTNAME ; ipアドレスの設定 ; ipaddress, net-mask, gatewayの順 capwap ap ip <ipaddress> 255.255.0.0 192.168.0.254 ; コントローラの設定 ; プライマリWLCのホスト名、WLC-IPadress capwap ap primary-base FALCON-WLC-01 192.168.0.248 ; セカンダリWLCのホスト名、WLC-IPadress capwap ap secondary-base FALCON-WLC-02 192.168.0.249' ; APの稼働typeの指定 通常はこのコマンドで再起動がかかる ap-type capwap ; 自動で再起動しない場合 reloadて
設定値を間違えた場合は、以下コマンドで初期化して、再度やりなおします。
capwap ap erase all
CAPWAPモードであればアクセスポイントの初期設定はとても簡単です。
(手順3)設定値確認
再起動後、show configにより設定値を確認し、ログ記録などを取ります。
; ログインしてenableモードに移行 Username:Cisco Password:Cisco enable Password:Cisco ; エラーログの出力を停止する logging console disable' ; showログをmoreで止めずに全行出力 terminal length 0 ; run-configの出力 show run ; capwapのconfig出力 show capwap ip config ; ファームバージョンの出力 show version ; capwapのクライアントconfig出力 show capwap client config
(手順4)WLCへ接続
アクセスポイントの初期設定が終わればWLCへ接続します。
アクセスポイントをWLCへ接続すると、自動でアクセスポイントのファームウェア更新作業が行われ、アクセスポイントがWLCに収容されます。
あとはWLCのGUI画面からアクセスポイントをアクティブにすればWiFiは即稼働しはじめます。
CiscoではWLCはITエンジニアでなくとも設置できると書かれていましたが、専門用語の嵐なのでやはり難しいです。まだまだITエンジニアの専門作業だと思います。