半年ほど前、アウディTTのグローブボックスを開けたところ、何かが折れる音がしてダンパーが効かなくなり、ボックス内の照明も点灯しなくなりました。
ブロアモーター修理のときにグローブボックスを外してみると、ダンパーの取り付け部分が見事に折れていましたので修理することにしました。
グローブボックスを外すのは結構な労力が必要ですので、今回は以下3点の修理と改良をまとめて行うことにしました。
- グローブボックス ヒンジ修理
- グローブボックス ダンパー注油
- ボックス内電球をLEDに変更
この中で一番手間がかかったのは割れたヒンジ修理です。
グローブボックスを取り外す
グローブボックスは、M8ボルト✕6本で止まっていますので、下2円→中1点→上3点の順に外します。
上段のビスを外すと、グローブボックスが勢いよく落下することから、最後に外します。
また外す際はネジに負荷がかかって壊さないように、ボックスを手や足などで押さえながら慎重に外します。
グローブボックス ヒンジ修理
折れた部分の材質は、力も加わる部分なのに樹脂製でした。
そのため、接着剤での修理は不適と判断し、武藤商事のプラリペアを使うことにしました。
手順1:折損した部品を紙やすりで研磨
グローブボックス内の部品はすべてに起毛処理が施されています。
起毛処理は高級感があっていいのですが、接着の障害となりますので、紙やすりで接着部分の起毛を除去します。
紙やすりは、近くのホームセンター【コーナン】で売っている紙やすりセットを使いました。
コーナンはプライベート商品が充実していますし、ビスをバラ売りもしているので、DIYには最適なお店ですね。
手順2:接合部加工
プラリペア溶着部分は、接合面積を増やすため、V字になるようカッターで加工します。
カッターを使うときは、刃の方向に手を添えないように注意して作業します。
手順3:金具補強
プラリペアの溶着だけでは強度的に弱いので、金属ステーとM3✕10のタッピングビスで補強することにしました。
タッピングビスは打ち込む前にΦ2.5で下穴をあけます。
下穴があいたらネジで仮止めします。
本締めはプラリペア接着後に行いますので、この時点ではグラグラ状態の仮止めにしておきました。
手順4:プラリペアによる溶着
ステーで仮止め後、接合部をテープで養生し、接合部がぐらつかないようにしてから、プラリペアで溶着作業を進めます。
接合部はコの字状に入り組んでいるため、プラリペアのニードル法ではなく、粉を直接乗せてリキッドを流し込むようにして接合しました。
しかし、プラリペアの粉体側は、サラサラなので鉛直方向しか接合できません。
そのため、コの字型の3辺の同時接合は、グローブボックス本体をひっくり返しながら、1辺ずつ接合処理しました。
最終的には、写真のようにガチガチに固めて、通常の使い方では二度と折れることはないようにしました。
グローブボックスダンパー修理
アウディのグローブボックスは、プラスチックのエアダンパーが使われており、経年でダンパーの中のゴムの滑りが悪くなってきます。
動きがむちゃくちゃ固くなって、グローブボックスを強く引き出すと、グローブボックスのヒンジ部に負荷がかかりヒンジ折損に至ります。わざと壊れるように作っているんじゃないかという設計ですね。
この問題は、ダンパーに穴を開けてシリコンスプレーすることで治ります。
問題が起こる前に処置ができたら最高なんですが、壊れるまで気づかない部分です。
修理手順は簡単でダンパーの天面にドリルでΦ2.5の小さな穴を開け、穴からKUREのシリコングリスを少量注入し、ダンパーを手動で数回動作させます。
シリコンスプレーは、KUREのシリコンルブスプレーが多用途に使えて便利です。
負荷が軽くなりすぎるようだったら、開けた穴をテープで塞ぐなどして調整すれば適度な重さに変えることができます。
ダンパーの加工が終わったら、元通り組み付けてグローブボックスの修理は完了です。(写真参照)
グローブボックス内 T10LED電球交換
グローブボックスは、滅多に取り外ししない部分ですので、ついでにボックス内のT10電球を高輝度LED(200lm)に変更しました。
アウディで社外LED電球を使う場合の注意点としては、外装がオール樹脂のLEDを選定するようにします。
2010年前後のアウディT10ソケットは、電極とホルダーを兼ねているタイプが使われているため、アルミ外装の超高輝度LED電球は、回路がショートする可能性があります。
ただこのLEDは、キャンセラーが無く、+-の極性もあるので、アウディで使う場合はキャンセラーチェックがない内装ランプ専用になります。
余計な回路がないため、1個80円程度と激安ですし、経年で壊れにくいというメリットはあると思います。
参考までにLEDの極性の見方ですが、内部の電極が小さい方がアノード(+極側)になります。
取り付けはT10ウェッジ球を取り外して、はめ込むだけだけです。
+側の見極め方は、配線の色を見て判断します。茶色や黒色がGND側(ー極側)になります。
逆につけても壊れることはないと思うので、極性が分からなれば自動車と仮配線して点灯チェックすれば問題ないです。
※キャンセラー対応LEDとは:テールランプやウィンカーランプなどの保安ランプに電球が使われる場合、電球に微弱電流を流して、電球の死活チェックをするように作られています。LEDはこの微弱電流でも光ってしまうので、保安ランプには使えません。キャンセラー対応のLEDは、電球と同等の電流を流すように抵抗でバイパスする回路が組まれていおり、自動車にランプ切れ検知されないようにしたものです。
ドイツ車は樹脂パーツが経年で壊れまくる
今回の故障でネットをいろいろ調べたのですが、2010年代のアウディ小型車(A3, A4, TT)は、どれも同じ構造をしているので、同等の故障があるようです。
特にベンツ、VW、アウディ、ポルシェは、経年で絶対壊れるだろうという部分がプラスチックで作られています。これは、コストダウンとアフターサービスでの利益獲得手段なのでしょうけど、日本車メーカーとは設計思想が違います。
このアウディTTは、初めて所有した輸入車なのですが、車齢が10年を超えたあたりで日本車では考えられないような部分が壊れています。ウィンドウレギュレータ、ドライブシャフトブーツ破損、エアコンブロアモータ...
輸入車を所有する場合は、修理も楽しむくらいでないといけないんでしょうね。
ただ、BMWは社外電装部品が使えないように認証コーディングが入ってるのでDIY修理には不適です。ご注意ください。