アドテック(ADTEC)というメーカを知らない人は多いと思いますが、産業・工業用PCメモリでは高品質設計でよく知られた会社です。
そのアドテックが発売している「20Vで3.25Aが出力できるPD充電器」を購入してみましたのでレビューします。
ややこしいUSB高速充電規格について
USB高速充電の規格は、各社から高速充電の独自規格が複数あり、とてもややこしい状況です。
既存の高速充電規格については以下に列挙しますが、最近、ようやくUSB PDに統一される見通しになっているようです。
- Quick Charge(QC):Qualcomm社(クアルコム社)が開発したスマートフォンやタブレットなどを急速充電出来る規格です。主にQualcomm社のMPUチップが使われるAndroid端末で採用されてきた高速充電規格でした。最新のQC4からはPD3.0と互換性のある規格となります。
- Power IQ(IQ):Anker社独自の急速充電テクノロジーです。AnkerのモバイルバッテリーやUSB急速充電器に搭載されています。充電端末がiPhoneでもAndroidでも自動で見分けてくれ、PDがメジャーになるまで大変便利でした。Power IQ3.0(Type-C端子)よりUSB PDと互換性のある規格となっています。
- Power Delivery(PD):USBの規格作成団体により規格された、USB Type-C端子に対応した給電規格の一つです。2024年時点ではPD3.0とPD3.1が主流です。iPhone8以降はPD充電に対応しています。(下表参照)
今後、スマホやノートPCへの充電を行う場合、PD3.0以降であれば当面困ることはないです。
規格 | 出力電圧 | 最大電流 | 最大ワット数 |
Power Delivery 3.0 | 5V、9V、15V、20V | 5A | 100W |
Power Delivery 3.1 |
5V、9V、15V、20V, 28V (100W 以上)、36V (140W 以上)、48V (180W 以上) |
5A | 240W |
アドテック(ADTEC)製充電器を選んだ理由
アドテック製の充電器(APD-A065AC)を選んだ理由は、以下の通りです。
- PD3.0規格対応、Type-Aも備える:スマホ充電は全機種問題なし
- PD非対応ノートPC電源にも使える:60W(15V 4A)が出力できる
- 軽い!:質量わずか100g
- 安い!:3,000円台で購入可能
選定の決め手は、これ一つでスマホとノートPCの充電器として使えるようになり、荷物の軽減に繋がることにありました。
あと他社製と比較して安いです。20Vで3.25A出力ができる充電器は、Ankerだと8,000円くらいしますが、ADTECだとセール時3,000円台で購入できます。
注意点としては、USB-AポートはPD充電には対応しておらず5V 2.4A固定となります。
5V 2.4Aの充電でも十分早いのですが、一度QualcommのQuick Charge3.0の充電スピードを体感してしまうと、なかなか戻れません。(QC3.0はバッテリーへのダメージが大きいというデメリットはありますが。)
APD-A065ACのレビュー
外観は5cm✕5cmでとてもコンパクトです。
Type-AとType-Cの2ポートがあるため、ノートPCとスマホの同時充電も可能ですが、Type-C側のPD充電速度は若干落ちます。
ACコンセントプラグは折りたたみができるため、カバン内の収まりも問題なし。
最新のパワー半導体GaN(窒化ガリウム)採用で質量も軽く、コンセントに挿した状態で抜け落ちる感じは全くなし。
PD規格で充電しているときは青いLEDが点灯します。PD規格の充電が完了するとLEDは消えます。
非点灯時はPD非対応の5V 2.4A給電となっています。
注意点としては、USB-C端子側でPD規格に対応していない機器充電する場合、充電が開始されないことがあることです。
PD規格の充電器は、高電圧をかけて充電速度を上げる仕組みを取っているため、PD規格に適合する機器かどうかを判定する機能があり、PD非対応機器であった場合は給電を行わない仕様になっています。
PD規格に対応しない端末は、おそらく機器付属ケーブルがType-Aになっていると思うので、Type-A側で充電するように留意してください。
PD対応でないノートPCの電源として使うことも可能
PD非対応のちょい古めのノートPCの電源として使用する場合は、アドテックから発売されているノートパソコン用マルチプラグケーブル、または、Let's Note (5.5/2.5mm) 対応ケーブルAPC-A095CM-5525Pが必要になります。
ノートPCの電源として使う場合、出力電圧がPD規格とは異なるため、アドテック製PD充電器しか動作しないケースが存在しますのでご注意ください。(アドテック製PD充電器はノートPCも動作するようにカスタマイズされています。)