ChromecastはHDCP対応ディスプレイでないと映らない

Hardware

Androidスマホの画面をPCの液晶ディスプレイに表示させようと思いChromecastを購入しました。スマホ画面をディスプレイに表示させる方法は、いろいろな接続方式が存在していますので、簡単にまとめてみました。

注記:スマホ画面を液晶ディスプレイに表示させるためには、液晶ディスプレイがHDCP(著作権保護技術)に対応している必要があります。PC専用ディスプレイなどで売られているものはHDCPに対応していないものが多くありますので注意してください。

スマホ画面をディスプレイ接続するには複数の手段がある

スマホ画面をディスプレイに出すにはディスプレイ側の入力端子であるHDMIに変換する必要があります。このHDMIコネクタへ変換する方法はいくつかあり、代表的なものとしては以下の接続方法があります。

  • MHL変換スマホのmicroUSB端子からHDMIに変換して表示するタイプ。microUSB/ USB-C端子からHDMIコネクタに変換を行う。変換ケーブルは2,000円くらいから購入できるものの、充電をしながらするにはUSBハブが必要となる。microUSBがUSB-Cに変わりつつあるので、MHLをサポートされているスマホ端末機は減少傾向です。
  • DP変換スマホのUSB Type-C端子からDisplay Portに変換して表示するタイプ。スマホ画面をHDMI端子に出力してディスプレイに映すことができるようになります。ディスプレイの入力にはDisplay Portが必要となり、市販のテレビ(家電のテレビ)ではサポートされません。HDMIに変換するにはさらにDP→HDMI変換コネクタが必要になります。
  • Miracast無線LANで画面を送信してHDMIで出力するタイプ。プロトコルはRTP/RSTP、映像はH.264で伝送します。多くのAndroid端末、WindowsOSなどは標準でサポートしているため、Miracastに対応していれば一番安価で済みます。
  • ChromecastPCブラウザまたはAndroidスマホのアプリから画面データをChromecastに送りHDMIに出力するタイプ。AndroidスマホからはGoogle Homeで接続、Windows10からはWebブラウザのChromeから接続します。

各方式ともHDMIコネクタに変換するという最終目標は同じですが、スマホ側がすべて対応しているものはほとんどありません。機材を購入する前に自分のスマホがどの方式に対応しているかを調べてから機器を購入する必要があります。

スマホの適合規格を確認する

筆者はスマホにMotorola製(モトローラ:通称 moto)(※)を使っているのですが、motoシリーズが対応する方式はChromecastのみとなっています。

携帯キャリアが取り扱うスマホはDP変換やMiracastにも対応するものが多いようですが、IIJmioなどの格安SIM業者が扱うコストパフォーマンス重視の端末はたいてい1つしか対応していないようです。

※ 筆者はmotoばかり買っていて計8台稼働中です。使いもしないアプリがほとんど入っておらず、運用上のトラブルもほとんど出ないのが気に入ってます。

Chromecastが対応するのはHDCP対応機のみ

早速、購入して、PCで使っている液晶ディスプレイに差し込んで見たところ全く映りませんでした。

おかしいなと思いSony BRAVIA(テレビ)やPC用ディスプレイ EIZO EV2450に接続すると、こちらはきちんと初期画面が表示されます。

HDCP(著作権保護技術)の表記があったかなと思い、Chromecastの要件を確認すると次のようになっていました。

  1. HDMI 端子付きテレビ (テレビとだけ書いてあってHDCP有無の表記はなし)
  2. Wi-Fi ネットワーク Wi-Fi 802.11ac(2.4 GHz / 5 GHz)
  3. Wi-Fi 対応のサポート対象デバイス

最初に接続した液晶ディスプレイ(I/O DATA LCD-MQ271XDB:解像度2K)の仕様を確認すると、HDCP(著作権保護技術)に対応していない製品でした。(だから安くて高品質)

一方の高級ブランドEIZOのEV2450は、”(DisplayPort(HDCP)×1、HDMI TypeA(HDCP)×1、DVI-D(HDCP)×1”との記載があり、HDCPバージョンはHDCP 1.xでした。さすがEIZOさん、切り詰めたコストダウンはしていません。

つまり液晶ディスプレイに接続する場合はHDCPに対応している製品が必須となります。

Chromecastの要件をよく見ると「HDMI端子付きテレビ」となっています。家電のテレビはHDCP対応しかありませんので確かに仕様通りですが、細かな制約が明記されていないのは少し不親切だと思います。

筆者のように、手持ちの液晶ディスプレイにHDMI端子が空いていて、Chromecastで簡単に映すことができると考えて失敗される方も多いかもしれません。

表示のON/OFF制御はGoogle Homeアプリで行う

テレビへの表示On/Offはスマホ側のキャストという設定で確認できますが、接続制御自体はスマホ側のGoogle Homeというアプリを介して行うようになっています。

最初にChromecastをテレビに接続すると、簡便な接続手順が表示されますので、解説どおりにすすめるだけで誰でも出来ると思います。

実際に接続をしてみると、初回はChromecastのファームウェアをアップデートしているようで、少々時間がかかりました。スマホ経由でセットアップするようにして、HDCPバージョンなども更新できるようにしているのでしょう。

一度設定すると接続情報はChromecastが覚えてくれています。アクセスポイントさえ変わらなければ、どのテレビ・ディスプレイにつないでもすぐ使えました。

以下の写真はソニーのBRAVIAにスマホのゲーム画面を表示させた状態ですが、NANAOのEV2450でもきちんと映りました。

WiFiは5GHz帯が推奨

説明通りに設定することで表示は出来ましたが、スマホにより遅延が発生するがあるとわかりました。

moto g6(802.11n 2.4G/5G)から表示させると、遅延がほぼ体感できないくらいで画面をキャストできましたが、moto g8 power(802.11n 2.4G)で表示させると、動きの激しい動画は画面が間引きされ、音も途切れて表示されます。

なぜこのような差が出るのかというと、moto g8 powerのWiFiが2.4GHzしか対応していないところにあるようです。moto g8 powerは廉価機種なのでWiFiが2.4Gだけなんです。現在のmotoはすべて5G/2.4G対応みたいです。

Chromecastは、5GHz(802.11ac)に優先接続する仕組みになっているようで、2.4Gで接続するとルーターでの転送処理に遅れが出たり、2.4G帯特有の混在状況によりパケットがロスしているように思います。

Chromecastを快適に使うためには、ルーターとスマホの双方がWiFi 5GHz対応している必要がありそうです。

注意は必要だが製品には満足

いろいろとトラブルがありましたが、無事にEIZO HDCP対応液晶ディスプレイで使うことは出来ました。

このあと、Androidスマホの画面を録画しようとしたのですが、持っている録画機(IO-DATA GV-HDREC)がHDCP対応ではなく録画ができないという問題が発覚しました。こちらの問題は、追加機材の導入にて対処出来ましたので別記事で解説します。

Chromecastの要件の欄は、少し記載足らずだと感じたので、制約という観点で補足を行うと次のようになります。この制約は多少なりとも製品HPに記載して欲しいなと思いました。

  1. HDMI 端子付きテレビ:HDCPに対応するテレビ、または、液晶ディスプレイ
  2. Wi-Fi ネットワーク:快適につかうには5GHz必須
  3. Wi-Fi 対応のサポート対象デバイス:Miracastとは別物

もっともChromecastは、Google製だけあって導入も簡単ですし、一度設定さえ出来れば動作も安定しています。わずか4,000円弱の機器購入でYouTubeなどが大画面テレビで視聴できるようになり、コスパも大変よい機器だと思います。