自宅の玄関ドアに導入しているトステム製(現リクシル)の電気錠「タッチ/ノータッチ切り替えキーシステム」の主錠側が回らなくなり、鍵が閉まらなくなってしまったので分解修理しました。
注記:分解時は写真撮影をしていなかったので組立時の写真で説明になります。予めご了承ください。
分解による原因調査
玄関扉から、主錠ユニットを取り外します。主錠ユニットは通信ケーブルとアンテナ線が差し込まれているので、破損しないように気をつけて取り外します。
主錠ユニットのサムターンとモータギアボックスは、イモネジ(HEX1.5mm)で締結されており、イモネジを外す工具は、アイネックスのT-015に入っているHEXビットが使えました。
サムターンを外すとベアリングの金属ボールのようなものが飛び出てきて、更に分解してみると回転体の動きが固くなっていました。
どうやら故障の原因は、グリス劣化により回転体の動きが渋くなり、金属ボールが脱落することで、サムターンが回らなくなったものだと思われます。
故障の発見が早かったため、回転体のプラ部品に破損は生じておらず、グリスアップして仮組みするとなめらかに動作するようになりましたので、今回は洗浄と再グリスアップにより復旧しました。
部品洗浄とグリスアップ
主錠側のギアボックス内もグリスアップするため、更に分解しました。
ギアボックスの分解には0番の精密ドライバーが必要でしたが、簡単に全分解できました。
写真は各プラギアを取り外し、エレクトロニッククリーナーで洗浄したところです。
モーターは狭山精密製のDCギアードモータ(ギア内蔵型)が使われていました。
狭山精密は民生品ではあまり聞き慣れないメーカですが、産業用マイクロギアードモーターでは定番メーカーです。現在の狭山精密はシチズンマイクロという会社名に変わっていました。
基板回路にはマグネットによる位置検出機構がついていました。
サムターン側の回転側部品にはマグネットがついており、これで開閉検知をおこないモータON/OFF制御をしているようです。
(参考)基板に記載ある"LSN"という表記はListenの略で、マグネットの位置を検出するホール素子がついていると想定できます。
ギアボックスは、グリスアップしながら組み立てていきます。グリスはKUREのシリコングリースメイトを使いました。
シリコングリースメイトは、プラ部品を腐食しませんし、劣化もほとんどなく、さらに適度に硬いため、自然に流れ落ちたりしません。
最近のDIY修理では、家電製品から自動車修理までKUREのシリコングリースメイト一択で使っています。
組み立てと動作確認
サムターンの稼働部分は、内側のモータ軸につながっている部品が回転して、外側のサムターンを回す機構でした。部品数が少ないのに動作はとても複雑であり、エンジニアとしては興味をひかれる構造をしています。
サムターン側の部品は開位置と閉位置の間だけ動くため、内側のモータで動く部品は金属ボール経由でサムターン側の部品に力を伝達する仕組みになっています。
稼働部分が多いのでなめらかに動くようグリスは全体的に塗布しました。
以下の写真はサムターンを差し込みする直前の写真です。
サムターンは手で解錠操作ができる方向に差し込みますが、サムターンは四角いシャフトになっているので、扉の解錠状態になるようにして差し込みます。間違って閉位置にしてしまっても、扉に取り付けてもサムターンが回らないだけなので、すぐに気づくはずです。(筆者は3回つけ外ししました。)
あとは玄関扉本体に電気錠を戻し、サムターンが軽く回れば完了です。
この電気錠は、自宅の新築時に導入したものですが、もう15年以上も特段の不調なく動いています。今回、主錠側を分解しましたが、部品劣化もほとんど見られずまだまだ使えそうです。
もしプラ部品が破損していた場合、リクシル系列は素人に部品売りをしてもらえないことから、工務店経由で4-5万円の出費が必要になるのが少し残念なところです。
以上、トステムの電気錠修理でした。