【材料費1,200円】硬式テニスボール用 加圧器の製作(9個入)

Repair/ Renewal

硬式テニスボール(プレッシャーライズドボール)は、開缶後に空気が抜けていき、3ヶ月くらいで廃棄していましたが、加圧保管するとボール内圧が戻り、フェルトがすり減るまで使えるようになることから保管容器を自作することにしました。

この加圧保管容器は市販されているものもありますが、4個入り品で1万円程度もします。

本ブログで紹介する加圧器(9個用)は、1台あたり1,200円程度ですので、DIYが断然お得です。

製作仕様

加圧器に使う材料は、排水管に使用される65mmの低圧塩ビ管(VU管)を使いました。

65mmだとテニスボールを保管するのにちょうどいいサイズです。

塩ビパイプの長さは、保管場所や取り回しの良さを考慮して500mmにしました。

これより太い外径にすると、一度にたくさんのテニスボールが加圧保管できますが、本体質量が重くなることで取り回しが悪くなります。

挿入口65mmでは、排水口のネジ部分とボールのフェルトが干渉して、出し入れが少々きつかったので75mmを採用しました。

また製作時に接着剤塗布範囲が増えて空気漏れのリスクも上昇しますので、DIYでは65mm管がベストだと考えました。

必要な材料

部品はネットショップやホームセンターで揃えることが出来ます。

自動車用バルブはタイヤ交換が出来る自動車用品店でも買うことも出来ますが、一個300円くらい取られると思いますので、Amazonなどのネットショップでのまとめ買いがお得です。

必要工具

主に穴あけ作業に使う工具は以下の通りです。

エレクトロニッククリーナーはパーツクリーナーでも代用は可能です。

製作手順

塩ビ管の接着する作業は接着剤をたっぷりとつけることが重要です。

失敗しないように以下要領をよく見て行ってください。

【手順1】排水口へバルブ用穴を開ける

ネジ式掃除口75mm(NCO75)の蓋部分に14mmの穴を開けて、自動車のエアバルブを取り付けます。

穴あけ位置は棒を使って回すことを考慮して、センターから外れたところに開けておくと良いでしょう。

穴は最初に4mm,6mmの順で下穴を開けた後、ステップドリルを使って14mmに拡張します。

ステップドリルを使う時は蓋側の部品がまわらないようにしっかりと手で押さえ、ドリルが垂直になるように気をつけて作業するのがコツです。

蓋の裏面側は14mmより少し大きめに開け、面取りしておくとバルブが挿入しやすくなります。

バルブより大きい穴を開けてしまわないように注意しましょう。

【手順2】バルブを取り付ける

バルブは蓋の裏から押し込んで装着します。

バルブと蓋との滑りやするするため、バルブ外周にシリコングリスを塗布するとスムースに作業できます。

バルブが手の力ではめこみ出来ない場合は、裏側から太めの棒で押し込むとうまく装着できます。

どうしてもきつい場合は、むやみに穴を大きくせず、穴の裏側をステップドリルで少し面取りすれば入るようになります。

写真のようにバルブの突起(インジケータリング)が、蓋のおもて側に出てくる状態が適正です。

【手順3】塩ビ管の接着

次に塩ビ管の接着を行いますが、塩ビ管接着剤は強烈な化学臭があるため、屋外作業を行うようにします。屋内で行わないといけない場合は、換気しながら作業してください。

塩ビ管(VU65mm)の接合面に接着剤を塗り、底面(排水キャップ)→継手(インクリーザー)→掃除口蓋の順に接合します。

塩ビ管の接合部材は奥に行くほど狭くなっており、そのままでは全部挿入できませんが、接着剤を塗布すると表面が溶解して挿入できるようになります

接着は、空気漏れを起こさないように接合する両方の部材に接着剤をしっかり塗り、強く押し込んで接着します。特に端面は念入りに塗るようにすると失敗が少ないです。

接着後、接合端から接着剤が少しはみ出るくらいが適正です。

【手順4】接着剤の硬化

接着剤が硬化するまで6時間~1日程度放置します。

硬化完了の目処は、接着剤の溶媒化学臭が消えるくらいです。

くれぐれも硬化前に加圧はしないでください。接着が外れてしまいやり直しになります。

【手順5】加圧試験

空気漏れの有無を確認するため、加圧テストはできる限り実施しておきます。

加圧テストは、蓋をして200kpaまで加圧し、水を張った浴槽などに沈め、空気漏れの有無を確認します。

空気漏れが発生していた場合は、以下方法で処置を行います。

蓋のネジ部分から空気漏れする場合

蓋のネジ締めが甘かったり、パッキンに異物が入り込んでいると、蓋の部分から継続的に空気が漏れて来ます。

この場合は、一度空気を抜き、パッキン周りを清掃・シリコングリスを塗布してから、再度しっかりと蓋を閉めれば、空気漏れは止まります。

接着した部分から空気漏れする場合

接着した接合部分から空気が漏れている場合は、接着剤の量が少ない、または、部品をきっちりと密着させてないことが原因ですから、補修または再製作のどちらかの選択をする必要があります。

塩ビ接着剤の追加塗布でも空気漏れは止まると思いますが、接着剤が低粘度ですので空気漏れ付近に集中塗布するのは結構難しいです。

ここはシリコンコーキングやソフトタイプの接着剤を塗布して空気漏れを止めることになります。

しかし、シリコンコーキングやソフトタイプの接着剤は、自宅に常備している方も少ないと思います。

コーキングの価格も500円くらいしますので、再製作する方が安い場合もありますから、よく検討してください。

テニスボール加圧器の使い方と空気圧

製作した加圧器の使い方を解説しておきます。

蓋の開栓は空気圧を抜かないと回りませんので、使われる方には事前に説明しておいてください。

  1. 蓋を外し、ボールを投入後、蓋をしっかり閉める:パッキンにゴミや砂が噛み込んでいないことを確認します。
  2. バルブに空気入れを接続して加圧する:空気圧計が装備されているポンプを使います。空気圧はボールの状態によって変えます。(下表参照)
  3. ボールを取り出す場合:バルブキャップを外し、バルブ中心のプラグを軽く押すと空気が抜けます。空気が抜けたことを確認して蓋を回して外します。
  4. 蓋が固くて開かない場合:空気が完全に抜けていることを確認してから、蓋の突起に棒を差し込んで、てこの原理で開けます。ただし、塩ビは柔らかい部材ですので、破損には注意しましょう。

テニスボールの状態 空気圧(PSI) 空気圧(kPa)
新品の開缶前のボトル 14.5 100
新しくボールを開け、プレーした直後のボール 20 140
開缶後3ヶ月程度経過したボール 25 170
長い間放置してあり空気が抜けたボール 30 200

空気が抜けたボールの復活について

空気が抜けているボールも再生は可能ですが、200kPaの加圧をするとボールが凹む場合があります。

こうなるとボールが元通り膨らまない可能性があります。

ボールが凹まない程度に徐々に加圧することで復旧もできるらしいですが、1ヶ月くらいの時間が必要になります。

また、本体に塩ビ管を使うと中の状態もわからないため、再生する場合は透明PETボトル版にする必要があります。

私は無理にボールを再生せず、買い替える方が時間の節約になると思っています。

かかった費用(コスト)

1台あたりの製作費は以下の通りでした。(工具、接着剤などの備品、準消耗品は除きます)

品名 型式 コスト(税込み)
自動車用バルブ パシフィック TR413-CL 75円
塩ビ管排水口掃除口(75mm) エスロン ビニールDV ネジ式掃除口 75mm NCO75 371円
塩ビ管インクリーザーソケット(75-65mm) エスロン DV継手ソケット インクリーザー75x65 DVIN75-65 217円
塩ビVU管65mm✕0.5m クボタケミックス 排水用塩ビパイプ VU 65X0.5M 383円
塩ビVU排水キャップ VUC65 エスロン VU排水キャップ VUC65 151円
合計 1,197円

掃除口はエスロンを使ってください。他メーカーでは空気漏れになる場合があります。

DIYがコスパいい

同等の市販品を買うと1台1万円近くしますので、自作のコスパは良いですし、満足感も得られます。

各加圧器に空気圧計が取り付けられれば、更に使い勝手が良くなると思いますので、今後改良を検討してみたいと思います。