iphone6s 大容量バッテリー交換と初期性能の確認

Repair/ Renewal

店舗でAIRレジというクラウドレジを使っているのですが、お客さん側の料金も表示したいので、使用しなくなったiphoneでカスタマーディスプレイを追加することにしました。

AIRレジの端末ソフトはiphone/ipadしか対応しておらず、カスタマーディスプレイもiphone/ipadを準備してくださいという仕様です。

カスタマーディスプレイは親端末がWEBで画面を作成しているだけなので、Androidでも代用できるのですが、OSの制約より無操作で画面が暗くなると自動で復帰せず少し使いにくいので、iphoneに切り替えることにしました。

今回は、身内から機種変更で使用していないiphone 6sを提供いただけたのですが、電池が著しく劣化しているとのことで、運用前にDIYで電池交換を行って、公称容量どおりかのベンチ測定をしてみました。

バッテリー選定と必要工具

バッテリーは互換品の中で一番高容量のものを選びました。

調べていくとiphone 6sの標準内蔵バッテリーは1750mAですが、互換品は2200mAから2700mAまでの商品が販売されています。

付属品は、ケース開用の工具(ドライバー、吸盤、ヘラ)、両面テープ、防水シールが付いてくるものがほとんどです。

ケースの防水シールは携帯電話として使用するなら、貼り付けておいた方が良いので付属したものを買うほうがよいでしょう。

使うドライバーは+00, p2(penta probe)の2本です。先端がきちんと着磁されており、品質はそこそこ良いので使いました。

ネジがとても小さく、場所により長さが違うので、作業用マットは必携だと思います。作業マットはネジと色目が違い見失うことがありませんし、一時保存用の場所もたくさんあります。

ピンセットは付属品を使わずいつも使っているホーザンの先曲がりピンセット、および、プラチップピンセットを使いました。

購入した交換バッテリーの仕様

購入したバッテリーは写真のような箱に入っていました。2,200円の中華製品ですが、とても高級感がありますし、内容物も丁寧に作られたような印象がありました。

内容物はバッテリーの他、交換に必要な道具と、再固定に必要なシールが入っています。

吸盤はガラス面を引っ張るために使いますが、裏面パネルには吸着できない仕様でした。

ドライバーは先端がきちんと着磁しており、廉価品とは考えられないような品質でした。

交換作業の実施

交換作業自体は、分解工房さんのHPと動画で一通り解説されていますので割愛します。

iphoneようにメジャーかつ小さい製品は、どうやっても同じ手順しかありませんから、先輩方のやり方を参考にさせて頂きました。

単なる交換動画もyoutubeに大量にあり、iphoneは人気なんだなーと思うくらいでしたが、交換作業が想定以上に難しかったです。同じような動画が大量に投稿されていたのは、交換作業が難しいからであって、そのコツを教えるためにたくさん出されていたんですね。

私も同じ困難に遭遇してしまいましたので、以下に注意箇所と苦労話を含めて、説明します。

最初はケースが開かない

1つ目の困難は、本体のケースが開かないです。キット付属の吸盤をガラス面に貼りつけて引っ張るのですが、接着剤が固着して説明書どおりに浮きません。

引っ張っているうちに吸盤についてるリングが伸びてきて、とうとう引っ張れなくなってきました。仕方なくリングを盆栽用のアルミ線(筆者の使用目的は無線アンテナの材料です)に変えて使ったところ、指に食い込みしなくなったので引っ張ることが出来ました。

分解工房さんでは、吸盤が表裏2個ある専用工具を使って説明されていたので、裏面にも手持ちの吸盤(これも無線のアンテナ基台として持っていたもの)を取り付けて両方を引っ張りましたが、それでも開きません。

これ以上力をかけるとパネルを割る可能性があると思ったので、ヘアードライヤーで温めて2人で垂直に引っ張ると接着面が剥がれて浮きました。浮いたすき間に付属のピッカーを差し込み、周囲の接着テープを押し切ることでようやく開きました。

これほどの分解作業を付属の工具で完遂するのは不可能です。パネルを割る人もたくさん出ているのも理解できます。

バッテリーが外れない

2つ目の困難は、バッテリーの接着テープがちぎれて引き抜けないです。

動画通りにテープを引っ張って簡単に取れると思っていましたが、このテープはすぐ切れてしまい引っ張れなくなりました。少し残ったテープの端をアルミ棒で巻き付けて引っ張りだしてもみましたが、それでもすぐ切れます。

最後は、持っていたスチール定規で、すき間を作ってピンセットでテープの端をつまんで取り出すと、なんとか1本の両面テープは引き抜けました。2本目も同様にするとなんとか外れました。

新品から電池を1度も変えておらず、時間が経過している端末は、粘着剤は特に強固に接着していると思います。

またテープが綺麗に抜けないと、電池とテープの間をこじって広げるしかなく、そのときバッテリーを曲げてしまいます。リポバッテリーは屈曲に弱いので折らないよう細心の注意をする必要があります。

ケース閉めるときの接着テープが合わせ辛い

ケースは防水性を高めるため、ケース外周に防水テープを貼るのですが、このテープが薄くて”丁度良い位置”に張れません

もともと防水性はそれほど期待できない機種ですし、今回の用途はAIRレジのカスタマーディスプレイですので、ここはもう適当に済ませました。

バッテリー交換の効果チェック

さて、困難だった電池交換も無事に終了し、電池の容量が1,750mA→2,700mAに大幅に上昇したので、カタログ値どおりの容量性能が出ているかテストをしてみました。

テストはバッテリーを満充電後、3DMarkというベンチマークアプリのストレスモードを20分動作させてバッテリー残量を比較してみました。

電池の種類 iphoneが認識しているバッテリー容量 3DMarkストレステスト後のバッテリー残量(%)
従来電池(1,750mAh) 79% (= 1,383mAh) 67%(= 926mAh)
交換電池(2,700mAh) 100%(= 2,700mAh) 89%(= 2,403mAh)

双方の電池ともベンチマークアプリの動作で300~350mAh消耗しているとすると、だいたい数値が合致するので、充電池の初期状態の容量は概ねスペック通りといった感じです。

さすがリポバッテリーの最先端をいく中国メーカーです、素晴らしい。あとは早期劣化にならないかが要注視のポイントですね。

iphone電池交換は想定以上に難しく要注意

今回の電池交換で新品以上の性能となり、満足のいく結果は得られたものの、交換作業は両面テープで固定されている部分が多数あるので、かなり難しい部類になると思います。

特別難しいと思ったのは次の3点だと思いました。

  • タッチパネルとの貼り付けが接着テープなかなか外れない。
  • 電池を止めている両面テープが切れる。
  • 両面テープものはやり直しができない。

長く使っていた端末はテープも固着する傾向にあるので、力を加えたときにガラスパネルを割ったり、フレームを歪めてしまう可能性が高いと思います。

これからやってみようという方がおられれば、以下道具をそろえてから実施した方が良いと思います。

  • ケースオープナー吸盤2つ:1個では開かないでしょう
  • 金属定規:バッテリー裏の取り切れないテープを剥がすのに使用
  • ヘアードライヤー:粘着テープは熱で柔らかくなる

このバッテリー交換は失敗リスクがあり、表示パネルなどの予備部品を常備していない状態では、あまりやりたくないですね。iphoneはデザイン優先、かつ、コストにも余裕があるので、いろいろな面で特別なスマホだと実感しました。