レクサスNX DIYバッテリー交換【安価な互換バッテリーの選び方】

Automobile

レクサスNXは新車時からバッテリー交換をしておらず、セルモータの回りが苦しくなってきたので、バッテリーを交換することにしました。

レクサスNX(ガソリン車)に搭載されている標準バッテリーは、「S-95」というアイドリングストップ対応仕様なのですが、どのバッテリーメーカーのサイトでも「車種適合なし」となっているため、自分で適合性を調べて購入することにしました。

まずはCCAテスターで劣化度合いを調査

バッテリーはそこそこ高価なパーツですので、DIYでバッテリー交換する場合は、市販されているCCAテスターで劣化度合いを測定してから、交換要否を判断することをおすすめします。

CCAテスターとはバッテリーの内部抵抗値を測定することで、劣化の度合いを見える化する測定器です。従来は高価で手が届かない機器でしたが、ICワンチップで測定できるようになり、現時点では安価に手に入るようになりました。(筆者はメルテックのML-100という測定器を保有)

早速、CCAテスターでレクサスNXのバッテリーのCCA値を測定したところ、280(A)まで落ち込んでいました。バッテリーのラベルには新品時605(A)と表記されているので、性能はほぼ半減しています。

夏場のCCA値は330(A)くらいありましたので、冬季になって周囲温度が低くなり、性能が落ちているものと思われます。

バッテリーのCCA値が新品の半分くらいまで落ち込んでしまうと、パルス充電を行っても電極の固化物が分解できないため、CCA値は+20(A)ほどしか復活しなくなります。

電解液の量が適正であってもCCA値が低下したままであれば、これ以上の復活は難しいのでバッテリーの寿命と考えて交換を行うほうが得策となります。

互換バッテリーの選定方法

レクサスNX(ガソリン車)の新車時バッテリー型式はS-95(端子位置はL)です。

その情報をもとに互換性を有するバッテリーを調べていくと、現時点では複数メーカからS-115という型番で発売されていることがわかりました。JIS規格においては、「S」はアイドリングストップ仕様の型式で、「95」や「115」の数字はバッテリー性能値(容量値)ということらしいです。

念のため、S-95の採寸も行いましたが、やはりS-115とほぼ同一でしたので、S-115はS-95の上位互換であることは間違いなさそうです。

採寸値と互換バッテリーの仕様値をまとめると、下表のように整理することが出来ましたので、掲載しておきます。

品名 Panasonic CAOS

N-S115/A4

Bosch

HTPP-S-115

AQUA DREAM

AD-MF S-115

新車装備品

S-95

5時間率容量(Ah) 66 75 54 不明
初期始動性能(CCA) 680 720 730 605
長さ(mm) 260 259 258 260
幅(mm) 173 172 172 173
箱高(mm) 204 200 200 202
総高(mm) 225 222 220 220
重さ(kg) 19.5 20.0 19.5 19.5
取っ手 ✕:なし ○:あり ○:あり ✕:なし
インジケータ ○:あり ○:あり ○:あり ✕:なし
実勢価格 約26,000円 約18,000円 約11,000円 4万円程度

新品時のバッテリー性能は、BoschのS-115が最も高く、新車装備品のS-95が最も悪いということになります。

パナソニックCAOSは、独自の液栓口、電極コーティング、派手な外観などの趣味要素が高い作りをしているため、価格が高止まりの傾向があります。

※注記1:鉛バッテリーは電極等の技術開発により、性能が上がっていく傾向がみられるため、S-95の新車装備品が粗悪品というわけではありません。5年前は標準的な性能でした。

※注記2このレクサスの場合は端子位置はLのみが適合します。R品は+と-の位置が逆のため、車両側のハーネス加工をしない限り、端子が取り付けられないので注意してください。

互換バッテリー選定のポイント

筆者の経験上、バッテリーは価格が高い製品ほど長持ちするというものではないと考えています。

鉛電池は、硫化固形物が端子に付着しないよう出来るだけ満充電状態で使うのが理想であるため、寿命を伸ばすには、適切な電解液量管理、及び、パルス充電器による定期的な端子固形物の除去が重要だと思います。

価格が高い製品は、高出力が出来るように電極に特別な加工がされているものなのですが、使用環境によっては「特別な加工」が早期劣化につながることもあると想定しています。

上述の理由により、筆者はバッテリーを以下の指標で選定することにしています。

  • CCA値(コールド・クランキング・アンペア:始動性能の指標値):新車に装着されているバッテリーのCCA値は605とそれほど高いものではありません。今回のレクサスNXの場合は、CCA値が605以上あれば車の始動性能には影響しないと考えておくのが良いでしょう。
  • 5時間率容量率:バッテリー容量の指標です。電極の数や面積が大きいと容量が増える代わりに、価格も高くなる傾向になります。BoschのS-115は75Ahもあるので性能としては突出しています。ただ電極の数が多いと故障するするリスク(構造が複雑になり、電極や樹脂ケースにクラックが入る)も高くなるので、あまり重視しなくても良いと思います。
  • 取っ手の有無バッテリーは20kg以上もあるので取っ手の有無は意外と重要です。パナソニックのカオスは青くて格好良いのですが、取っ手がないのがウィークポイントです。レクサスNXはバッテリーが車両前方にあるので、取っ手が無くても交換は容易できますが、マツダ車などはボンネットの奥まった位置(運転席に近い)にバッテリーが配置されている事が多く、取替が大変になるので注意が必要です。
  • 価格値段の差は電極の質の差と考えています。高額製品は電池容量や始動性能は高いのですが、経年劣化については別問題と思っていたほうが無難です。筆者は、過去にパナソニックのCAOSを2回購入したことがありますが、経年劣化については廉価品(AudiのACデルコ)と大差はありませんでした。バッテリーの経年劣化については、充電する機会が少ないチョイ乗りが最も厳しいと思います。

激安のAQUA DREAM製を選択

比較検討の結果、一番安いAQUA DREAM製のMF S-115を選択することにしました。

鉛バッテリ-は枯れた技術であり、パルス充電器で定期的に充電しておけば、普通に3年は持つと思います。ただし、極端に安く・保証が短いものは、製品のばらつき(モノ自体の当たり外れ)がある可能性が高いので、レビュー評価を見ることも重要です。

もし有名ブランドを志向される方は、基本性能が高いパナソニックCAOSやBoschハイテックプレミアムプラスでも良いと思います。これらの製品は見栄えも良く、品質保証期間も長いので、お値段に準じた満足感と安心感が得られると思います。

互換バッテリーを取り付ける

バッテリーは発注して翌日に到着しましたので、早速取り付けてみました。

鉛バッテリーは満充電が理想状態ですので、作業の前に充電器でフル充電をします。

フル充電直後にCCAテスターで測定したところ955 CCAもありました。カタログスペック以上のCCA値であり、十分マージンがありましたので、 初期品質は問題なしと判断しました。

バッテリー交換時のメモリー保護をする機材が市販されていますが、筆者はメモリー保護をしない派です。

メモリー保護をしない理由として、日本車はバッテリーを上げてしまっても窓の開け締め(開け締めポジションの再メモリー)くらいしか作業がないので、メモリー保護のために機材を買うのはもったいないとの考えです。

ただし輸入車はバッテリー取り外しでMalfunctionが出たことがあるため、整備用のコーディングツールがない場合は、バッテリー保護はやっておいたほうが良いと思います。コーディングツールが無いと、ディーラー等でmalfunction消去をしてもらうことになり、5,000円くらいの費用が取られます。

バッテリーの端子を外すには、10mmの六角ソケットと眼鏡レンチが必要です。また+12Vの高電流部位を扱うため、ゴム手袋(ニトリル製など)はしておいたほうが良いです。

交換手順は以下の通りです。この手順は、どのバッテリーの取説にも同じように書かれていますので、慣れないうちは取説を見ながら作業しましょう。

  1. 旧バッテリーの「アース(GND)」ターミナルを外し、端子をテープ等で養生する
  2. 旧バッテリーの「+(プラス)」ターミナルを外し、端子をテープ等で養生する
  3. バッテリーを固定しているステーを外し(10mm六角を2箇所)、バッテリーカバーも外す
  4. バッテリーを載せ替えて、バッテリーカバーと固定ステーを取り付ける ※バッテリーは20Kgと重いので腰を傷めないように注意する
  5. 新バッテリーの「+(プラス)」ターミナルを接続する
  6. 新バッテリーの「アース(GND)」ターミナルを接続する ※この接続をするとき、恐る恐るやってしまうと端子に一瞬火花が出る場合がありますが異常ではありません、ビビらずに一気に端子接続すれば火花はでません
  7. エンジンを始動して作業終了。(場合により、窓を開け締めして、窓位置の再メモリーが必要)

新バッテリーは写真の通り、問題なく取り付けができました。自動車側のー端子にある電流センサーが、バッテリー外装とほんの少し干渉して、バッテリー端子の奥まできっちり入りませんが、端子は全部掴めているので使用上の問題は無いと思います。

交換すると低温でもセルモータの動作も快調になり、アイドリングストップもバシバシかかるようになりました。

AQUA DREAMのS-115は、1万円程度で購入できるので、かなりの節約が出来ました。